牛丼、激安戦争、吉野家参入できず
牛丼・牛めしを扱っているチェーン店が、値下げ競争を始めた。
「松屋」が12月初めから、牛メシの値段を下げた。
390円が、320円だ業界1位だった吉野家から、シェアトップを奪った「すき家」では、一週間遅れだが、牛丼・並を280円に設定した。
系列チェーンの「なか卯」も、牛丼を値下げする方向だそうだ。
これはアメリカの牛から狂牛病が出る以前の水準まで下げたってコトだ。
しかし吉野家は、380円から下げる予定はないと言う。
理由は、オーストラリア産などに比べて割高なアメリカ産の牛肉をつかっていることだという。
吉野家は、一度倒産していて、その大きな原因が、味の低下だったもんだから、味を落とすことには抵抗があるんだろう。
しかしもう一つ原因がある。
それは他のチェーンが、牛丼以外にもメニューがたくさんあって、牛丼の値段を下げても、客単価はそんなに下がらないってコトだ。
たとえば松屋は、カレーもあるし、焼き肉定食やハンバーグ定食のようなモノもある。
こちらは600円前後するから、牛メシを320円に下げても、客単価はそれほど大きく下がらない。
お客さんは、牛メシ目当てに増えるけれど、単価の高いメニューを注文する人もいる。
なか卯も、親子丼などの牛丼以外の丼はあるしうどんのメニューもあるから、同様のことが言える。
すき家の場合も、トッピングや変わり牛丼があるし、鰻丼なども売っているから、客単価は大きく落ち込むことはない。
単品勝負の店は、危ない?
一方、吉野家というと、メニューは基本的に牛丼しかない。
牛丼しかないから、値段を下げると、それがそのまま客単価を大きく下げることになる。
吉野家は味にこだわっていると言うが、客単価がもろに下がることに大きな危険を感じているのだろう。
売り上げに占める牛丼の割合が小さければ、牛丼だけ下げても、他のメニューを下げなければ売り上げはさほど落ちない。
下げたぶんだけ客数は増えるしね。
しかし吉野家の場合は、売り上げに占める牛丼の割合が、他のチェーン店に比べてはるかに大きいので、牛丼自体で利益を上げなければならないのが弱点だ。
10円20円の差ならば、好みの問題だが、100円前後も違うとなると、いずれ値下げしなければならないのは目に見えている。
倒産した前回は、牛丼の競合チェーンはまだ弱者だったが、今は、すき家・松屋・なか卯などは、すでにメジャーなブランドになっている。
ここを読み違えると、吉野家はまた倒産の危機を迎えることになりそうやね。
飲食店経営の繁盛マニュアルなどを見ると、客単価よりも客数の変化に気をつけるというのがあるが、客数自体を減らしてしまったら、回復は難しくなるだろう。